世の中の知らないことを知りたいと思った。
世の中には僕が知らないことがいっぱいある。だからそれを知れば僕の世界は広がって、大きくなれると思ってた。
でも、違ったみたいだった。
テレビなんか家になくても、スマホからいくらでも外界の情報がとめどなく流れてきて、知らず知らずのうちに世界を広げるどころか飲み込まれていた。
知った気になって溺れてただけなんて、なんて滑稽なことか。
昔は違った。
そもそもこんなに携帯電話に触れてなかった。学生という身分もあったかもしれない。
世界とはリアルでの接点しかなく、それは今では考えられないほど身近な付き合いしか存在しなかった。
それでいて当時の僕は怖かった。
外界と触れ合うことが。
だからそれを隠すために、気付かれないために外を遮断した。
身近な世界を含めた外界を遮断すると、内にこもった分、自己が強くそして濃くなる。
今になって思った。
自分探しで外に旅立つイメージがあるけど、世界のどこを探しても自分なんて見つからない。
逆に世界を締め出して、自身に閉じこもって自分と向き合うことで、自分らしさに色が付いてくる。
よくいう「蠱毒」みたいな話だよね。